喧騒から少し離れて、言葉と向き合う時間がほしい日。
そんな時に訪れたのが、目黒区駒場にある「日本近代文学館」。
その静かな建物の一階に、文学と珈琲が出会う場所「BUNDAN」があります。
BUNDAN caféの魅力
店内は、想像していたよりもずっとコンパクトな空間。
席数は14〜15席ほどでしょうか。しかし、天井が非常に高いので、圧迫感がなく、広く感じます。
片側ソファのテーブル席に案内され、娘とふたりで、すっと腰を落ち着けました。
本棚がしつらえられた店内は、静かに本を読む人、ゆっくり飲み物を楽しむ人、それぞれが思い思いに過ごしています。
文学的なメニューにときめく
注文したのは、私がコーヒー「OUGAI」、娘は「ベーリング行列車の紅茶」。
メニューに並ぶ名前の一つひとつに、思わず目がとまってしまいます。
「AKUTAGAWA」や「TERAYAMA」…誰かの作品や名前に出会うたび、脳裏にその文章がふっとよみがえるような感覚。
文学館のカフェならではの楽しさです。
おやつは「シェイクスピアのスコーン」
この日はお腹が空いていなかったこともあり、パフェを諦めて、スコーンをひと皿。
本当は、「檸檬パフェ」を食べたかったんですけどね。それはまたの機会に。
スコーンのトッピングは2種選べて、今回はミックスベリージャムと、季節限定のパンプキンクリームをチョイス。
「限定」と聞くと、つい惹かれてしまう。まんまと売り手の罠にハマっていると思いつつ、抗えない魅力のある言葉ですね。
スコーンは手のひらほどの大きさ。あたたかく、しっとりとしていて、手で割ってジャムをつけて頬張ると、優しい甘みが広がります。
実は、スコーンてパサパサしたものというイメージがありました。
口の中の水分を全て持っていかれる感じがして、少し苦手なお菓子だったのです。
ところがここのスコーンは、パサついておらず、やわらかい。こんなに美味しいスコーンを食べたのは、初めてかもしれない。
しかも、大きい。
おなかがいっぱいだったから、軽くスコーンでいこうと思っていたけれど、思わぬ誤算。これは嬉しい誤算でしたけど。
甘さ控えめで、いくらでも食べられそう。
次は、カレーかモーニングを
隣の席では、おひとりで食事を楽しまれていた方のカレーがとても美味しそうで…。
次はぜひ、モーニングやランチタイムにも訪れてみたいと思いました。
「ハードボイルド・ワンダーランド」の朝食セットとか、名前からして魅力的ではありませんか?
朝は9時半から営業していますので、少しゆっくり目に起きてから行っても、十分間に合います。
朝食といいつつ、9時半から15時50分まで注文できるのも、嬉しいところです。
ここは静かな文学の余白
雰囲気は申し分なく、心も静かに整っていくような時間を過ごせました。
ただひとつ、メニューの文字がかなり小さく、店内が暗めなのでやや読みにくいのが正直なところ。
私のような老眼持ちでは、スマートフォンで撮って拡大して読む、という工夫が必要でした。
また、ラストオーダーが16時10分・閉店16時20分と早めなので、来店の際はゆとりを持って訪れるのがおすすめです。
日本近代文学館について
駒場公園の静かな緑に包まれるようにして建つ「日本近代文学館」。
1967年に開館したこの施設は、明治以降の日本文学を支えた作家たちの原稿、草稿、書簡、初版本など、約120万点を所蔵する、日本文学界屈指のアーカイブです。
夏目漱石、森鷗外、芥川龍之介、太宰治…名前を挙げればきりがない文豪たちの手による言葉の痕跡が、ここには確かに残されています。
館内には、文学資料の保存・閲覧を目的とした資料室のほか、定期的に企画展示が行われる展示室もあり、季節やテーマによってさまざまな作家や作品がクローズアップされています。
とくに資料室では、研究者や作家、学生だけでなく、一般の来館者でも登録すれば閲覧が可能という点も大きな魅力(閲覧資格は15歳以上、初めての利用の際は身分証明書が必要です)。静謐な閲覧スペースで、手書きの原稿用紙に並ぶ文字を目で追うと、ただ読むのではなく、書いた人の呼吸に触れるような感覚すら芽生えてきます。
空間全体が、時間と記憶を内包したような静けさに満ちていて、ただそこに身を置くだけで、自然と背筋が伸びるような感覚になるのです。
施設情報
- 店名:BUNDAN Coffee& Beer
- 場所:日本近代文学館内(東京都目黒区駒場4-3-55 駒場公園内)
- アクセス:京王井の頭線「駒場東大前駅」より徒歩7分
- 営業時間:10:00〜16:20(L.O.16:10)
- 定休日:月曜日(+文学館の休館日に準ずる)
- 備考:店内撮影禁止(注文したメニューのみ可)
まとめ:言葉と静けさに包まれる場所
文学好きなら一度は訪れてほしい、本と珈琲の似合う場所「BUNDAN」。
メニューの一言一句までが物語のようで、注文すらも静かな読書体験のよう。
日常から少し離れて、言葉の空気に身を浸したくなったとき、またここに来たいと思います。





